ピェルニクは香辛料やはちみつ、しょうがなどを混ぜた生地を焼き上げた硬いクッキーのようなお菓子です。今日ではトルンの名産として気のあるお菓子です。
お土産用に一般的なのは、ハートや丸、星、花などの形に型抜きしたクッキーのようなサイズですが、家庭で焼く場合はクッキータイプのもの以外にパウンドケーキのような大きな型で焼き、切り分けて食べるケーキタイプのものもあります。
生地は小麦粉・ライ麦粉・牛乳・卵・カラメル状に溶かした砂糖を混ぜて作ります。その生地に香辛料のペーストを練りこんでゆくのですが、蜂蜜・シナモン・ジンジャー・クローブ・カルダモン・ナツメグ・アニス・ラベンダーなどをレシピや好みによって混ぜ合わせます。
焼きあがったピェルニクの表面にはチョコレート、ドライフルーツやナッツ類でデコレーションのコーティングすることもあり、ジャムやナッツのペーストなどを挟んであるタイプのものもあります。
ピェルニクはハンザ同盟の都市のシンボルとされていました。なぜならピェルニクの材料に欠かせない香辛料やドライフルーツ・木の実などは欧州以外のものが多く、海を越えて運ばれてくる高価なものばかりだったからです。それらをふんだんに使ったお菓子を焼くということはハンザの商人たちの交易がいかに広い範囲に渡っていたかということ、また商人たちがどれほど裕福であったかを象徴していました。
ポーランドでは17世紀にトルンでこのお菓子が焼かれた記録が残っており、18世紀半ばにはグダンスクなど他のハンザ同盟都市で盛んに作られるようになりました。
このお菓子は保存食としても大変重宝されてきました。特に海を長期間航行する商人や船乗りには欠かせない食料でした。香辛料がたくさん含まれていることと乾燥していることから乾パンのように長期間の保存が可能なのです。またピェルニクは食べるだけでなく少し大きめのハート型のものに愛のメッセージやキャラクターを描いて飾るなどしてインテリア・オブジェに利用されることもよくあります。