旅行者のひとこと
「何千年もだれも開墾していない原生林の中に住むヨーロッパバイソン(ジュブル)の話を聞いて、今度はぜったいビャウォヴィエジャに行くと2年前から計画しました。そしてやっと念願のジュブルに会ってきました。ポドラシェ地方にはこういった原生林や琵琶湖ほどの大きさもあるビエブジャ湿原があって水辺にすむ動物たちのサンクチュアリになっていると聞きました。ビエブジャ湿原は次にはぜひ訪れてみたい場所のひとつです。それ以外にもエスペラント語を考案したザメンホフゆかりのビャウィストク、大昔にアジアから攻めてきたタタール人の子孫が住む村などこの地方ならではの魅力がたくさんで、あれもこれもと欲張りプランを立ててしまいそうです。
ラベルのモデルになっているジュブルは、かつてはヨーロッパのあちこちに生息し、1万5千年以上も前のアルタミラやラスコーの洞窟にも描かれているほどどこでも見かけられた野牛でした。しかし、中世以降の乱獲が原因で20世紀初頭には絶滅の危機にさらされるようになり、第1次世界大戦前には700頭を数えるのみとなり、1919年に、ビャウォヴィエジャ原生林のジュブルは死滅しました。当時、かろうじて生き残ったヨーロッパ・バイソンの数は世界中でわずか54頭となり、その中から純粋種のものを20余年にわたって人工繁殖を試みた結果、1952年に最初の新生ジュブルをビャウォヴィエジャの森に帰すことに成功しました。現在、世界に約4000頭しかいないヨーロッパバイソンの25%ほどがポーランド領に生息しています。ポーランドとベラルーシの国境に広がるビャウォヴィエジャ原生林は総面積1500㎢。そのうち東京都23区の面積とほぼ同じ625㎢がポーランド側にあります。
毎年8月にヤヌフ・ポドラスキでは有名なアラビア馬の品評会とオークションが開催されることで知られます。ここには1817年に創立した国営厩舎があり、そこが会場となります。アラビア馬とはアラビア半島原産で、エレガントな姿をした強靭な馬として知られ、ナポレオンとともにヨーロッパを駆け抜けた名馬マレンゴの話は有名です。ポーランドでこの純粋種のアラビア馬の飼育が開始されたのは18世紀初めのことでした。数年前にはロックバンド、ローリング・ストーンズのドラマーとして知られるチャーリー・ワッツも参加し、芦毛の馬を落札したことが話題になっています。例年イベント会場になる厩舎一帯は出店でにぎわい家族連れや観光客に人気のイベントになっています。