旅行者のひとこと
「オポレの花柄の陶器、あれは磁器だそうですが、まえに都内のお祭りで見ました。それでもしポーランドに行くことがあったらあの陶器を作っているエリアにぜひ行ってみたいなと思ったのです。実際にオポレ地方を旅してまるでお姫様が出てきそうな美しいお城や坦々と広がる大地いっぱいの咲いている黄色い菜の花畑、おいしい料理とワルシャワやクラクフとは違った観光客だらけでない落ち着いた雰囲気があるオポレの街並みが印象的でした。
この地方の中心となるオポレ市はオドラ川の河畔に発達したです。市内にはかつては倉庫や波止場があったといわれる場所があり、現在はおしゃれなレストランやカフェになっています。オポレは地方都市ではありますが、都市の規模に対しての高等教育機関数が多い大学都市として知られます。19世紀には川を利用しての交易も盛んで交通の便がよい町としても有名でした。
オポレの歴史は9世紀にボヘミア王国のなかにあるちいさな集落からはじまります。
14世紀には独立国家となり、さらに次の世紀には再びボヘミア王国に帰属し、16世紀にはホーエンツォレルン家、さらにハプスブルク家の統治下にはいりました。そして18世紀半ばにプロイセン領となったのち、1945年からはポーランド領となっています。
集落であったオポレが構造上の都市となったのは12世紀のこと。オドラ川の輪中に防護壁を造ることによって人々の生活空間としての町の基礎が作られました。複雑な歴史を反映してか、オポレ市内には建築様式の異なったさまざまな建造物があります。旧市街の市庁舎はフィレンツェのヴェッキオ宮殿のスタイルを模倣したネオ・ルネサンス様式ですが、近辺にはバロックやロココ様式の邸宅も並んでいます。
また、面白いのはひとつの建物の中にいくつもの建築様式が混在しているケースがよくみられることです。ヨーロッパの建築史に興味をお持ちの方なら、すっかり時を忘れて街歩きを楽しめるのがオポレの魅力です。建築も歴史の流れを反映していて興味深いものがあります。
たとえば、13世紀にフランシスコ修道会の修道院として建立した聖フランシスコ教会は、両大戦間期にプロテスタント教会となり、第二次大戦後にふたたびカトリック教会となった面白い歴史のある教会です。