西ポーランドの中心地ポズナンPoznań。
ポーランド最初の王朝であるピアスト朝ゆかりの地として歴史的にはグニェズノGnieznoと同様に重要であり、ベルリンとワルシャワのちょうど中間に位置する地の利から昔から商業の町として栄えてきました。
伝統あるアダム・ミツキェヴィチ大学をはじめ高等教育機関で学ぶ学生も多く、国内でも指折りの学園都市としても知られています。
昔から大商業都市として栄えてきたポズナンが誇るのは、ヨーロッパの見本市史のなかでも草分け的存在である国際見本市会場です。
ここでは年間を通じて国内外から多くのビジネスマンやあらゆる世代の人々があつまる各種の国際見本市が連日開催されています。
旧市街とその周辺、ピアスト王朝ゆかりのオストルフ・トゥムスキ、また郊外にあるマルタ湖などが見どころ。懐古的な雰囲気を残しながらもモダンなショッピングモールに生まれ変わったかつてのビール醸造所「スタリ・ブルヴァル」も一見の価値があります。
童話の世界に出てくるヨーロッパの街並みを体験できるのは旧市街広場。ポーランドでは3番目に大きな広場になります。広場の中心にあるネサンス様式の市庁舎は16世紀中欧を代表する建築家ジョバンニ・バッティスタ・ディ・クアドロの設計。毎日正午になるとこの建物の高いところに名物の子山羊のからくり人形あらわれ、観光客の歓声がわきます。
ポズナン市歴史博物館
住所:Stary Rynek 1
開館時間:
月~金 9:00-16:00
水 11:00-18:00
日 10:00-15:00
グルカ宮 Pałac Górków(考古学博物館Muzeum Archeologiczne)
現在は考古学博物館になっているこの建物は、1545年から49年にかけてアンジェイ2世・グルカが所有していた建物を改築したもので、広場の南東角にある。にぎやかな市街地に位置する宮殿としては国内ではもっとも早い時期に建ったことでも知られています。クラシュトルナ通りul. Klasztorna側にはルネサンス様式の門あり、そこから続く中庭にはラムセス2世を記念したオベリスクがあります。
所在地:ul. Wodna 27
開館時間: 火~金 10:00-16:00、土 10:00-18:00、日 10:00-15:00
楽器博物館 Muzeum Instrumentów Muzycznych
国内にある唯一の楽器専門の博物館でピアノなど鍵盤楽器のコレクションは圧巻。ショパンのポズナン来訪を記念する展示室もあります。
所在地:Stary Rynek 45
見学時間: 火~土 11:00-17:00、日 10:00-15:00
公式サイト:www.mnp.art.pl/oddzialy/mim
国立博物館(絵画&彫刻ギャラリー)
数多くのポーランドとヨーロッパの絵画コレクションとローマン、ゴシック美術で知られているこのギャラリーで特に注目したいのはポーランドを代表する画家ヤン・マテイコ、マルチェフスキ、ボズナンスカ、ベリーニなどの作品でしょう。
所在地:Al.Marcinkowskiego 9
開館時間: 月曜日休館、火10:00-18:00、水9:00-17:00、日木10:00-16:00、金土10:00-17:00
土曜日は常設展が無料
公式サイト:www.mnp.art.pl
ホテル・バザール
広場から続くul. Paderewskiegoの終わりにあるのは、ホテル・バザールHotel Bazar。国立博物館のちょうど反対側になります。1838年からおよそ3年をかけて完成したかつてのHotel Bazar。両大戦間期には華やかな社交場としてヴィエルコポルスカの文化の中心となっていました。現在も高級ホテルとして営業中です。
公式サイト:www.bazarpoznanski.pl
ラチンスキ図書館
自由広場pl.Wolnościの北西角に建つのはラチンスキ図書館Biblioteka Raczyńskichです。ヴィエルコポルスカ地方きっての富豪エドワルド・ラチンスキ伯爵(1786-1845)がポズナンに文化の中心となる場をぜひ作りたいという願いをこめて設立したヴィエルコポルスカ地方初の公共図書館です。設立当初より1万数千冊もの蔵書があったといわれています。
所在地:Plac Wolności 19
公式サイト:www.bracz.edu.pl
皇帝の城 Zamek Cesarski
プロイセンの名建築家フランツ・シュヴェヒテンの設計によって1905年に着工したヨーロッパで一番新しい城です。施主であるプロイセンのヴィルヘルム2世は、不規則な多角形でこの城をどこよりもドイツ的な城だとして建築に非常に積極的に係わっていたといわれています。1910年8月にヴィルヘルム2世がポズナンを訪問した際に引渡しが行われました。現在は文化センターとして利用されています。
所在地:ul. Św. Marcina 80-82
スタリ・ブロヴァル Stary Browar
ブロヴァルはビールの醸造所のこと。19世紀からあったフッガー・ビール醸造所の建物をベースに現代建築の粋を凝らしたモダンな商業・オフィス施設が登場したのは2003年のこと。2005年にはICSC国際ショッピングセンター協会(International Council of Shopping Centers)の中規模商業施設分野で大賞を受賞しました。ウッチにあるマヌファクトゥーラと並び、産業遺産をみごとに復活再生させた建築として大きな注目を浴びています。
所在地:ul. Półwiejska 32
公式サイト:www.starybrowar5050.com/
オストルフ・トゥムスキ
ヴァルタ川のそばにあるオストルフ・トゥムスキ。遠くから見てもよくわかるポズナン大聖堂が目印です。ここに伝わる伝説によれば、14世紀に川で洗濯をしていた女にスータン(聖職者の服)を着た悪魔が巧みに語りかけてきたとか。悪魔が扮した神父に気づいた女は何とか修道院に連れこもうと考えました。しかし、それに気づいた悪魔は怖気づき、ロバに変身してあっという間にヴァルタ川に飛び込んでしまったといわれています。このオストルフ・トゥムスキは968年に初めて司教区が設置された場所で、初代王ミエシュコ1世とボレスワフ勇敢王ゆかりの地です。アクセスは駅近くのMost Dworcowy からトラム8番に乗り、Katedraで下車します。
ポズナン大聖堂
大聖堂の歴史は10世紀にまでさかのぼることができます。聖堂自体は第二次世界大戦で被害を受け、荘厳なゴシック様式で再建されていますが、その基礎部分は建築当初のものです。主聖壇(1512)は、中心には聖母マリアと聖カタリーナ、聖バルバラが描かれた後期ゴシック期の作品で、1952年にグラ・シロンスカから移されてきました。内部に数ある礼拝堂のなかでもエキゾチックな雰囲気を持つビザンチン様式の金の聖堂は有名で、1834年よりピアスト王朝の初代王たちの廟となっています。ポズナン大聖堂のなかでも文化財としての価値が非常に高いのは15世紀に描かれた5枚の装飾画。第2次世界大戦中に何者かによって持ち去られていたものが、1990年代になってロシアのエルミタージュ博物館で見つかり戻ってきました。
所在地:Ostrów Tumski 17
拝観時間:9:00-18:00(礼拝中は入場不可)
マルタ湖
市民の憩いの場となっているマルタ湖は人造湖。夏には水遊びができ、1年を通じてスキーが楽しめる施設などがあり、有名な国際マルタ演劇フェスティバルの舞台としても知られています。マルタの名の由来は近くにある教会にあります。これはロードス及びマルタにおけるエルサレムの聖ヨハネ病院独立騎士修道会の教会で、1182年ごろに建築され1512年に増築・拡張されました。中世に地中海でキリスト教徒の保護ということで活動していた騎士団のなかで、今もなお騎士修道会として存在しているのはこの修道会だけになりました。歴史のなかでロードス島、マルタ島に本拠地を置いたこともあったため別名マルタ騎士団とも呼ばれています。この湖の名マルタはそこに由縁しているのです。
【アクセス】 ワルシャワ、ベルリンから列車で約3時間、また国際空港もありアクセスは大変便利。
ポズナンは美食とビールのおいしい町としても知られています。