シロンスク地方(シロンスキェ県, śląskie)
旅行者のひとこと
「シロンスクには産業遺産がたくさんあるので、工業や炭鉱の歴史などに興味があると面白いと思います。特に19世紀に稼働していた採掘機械など今ではもう見かけることもないめずらしい機械がピカピカの状態であるというのは圧巻です。ここには20世紀初めに炭鉱労働者のために造成された労働者住宅ニキショヴィエツもあって今も人が住んでいます。歴史が止まったような雰囲気を持つ一角です。そのほかにもこのあたり一帯を治めた大貴族の館や近くではビャウォヴィエジャ原生林にいるのと同じヨーロッパバイソンを見ることもできるのはうれしいですね。」
シロンスク地方はドイツ名ではシレジアといい、昔から石炭の産出地として国と国の勢力争いのはざまに立たされてきました。
中心都市はカトヴィツェ。工業・鉱業を中心に成長した大都市で、現在は国際空港があり、幹線道路や列車の十字路として交通の要所として知られています。炭鉱業とシロンスクは切っても切り離せない関係にあり、現在もその産業遺産を生かしたミュージアムや炭鉱労働者のために20世紀初頭に建てられた近代的な住宅群など、この地方ならではの見どころがそろっています。昔から石炭の採掘で知られるシロンスク県にあるグイド炭鉱では、18世紀末から20世紀にかけての炭鉱の歴史と技術の進化を楽しみながら学べます。ヘルメットをかぶって、エレベーターで降りるのは地下170メートル。採掘の動力としてかつてはたくさんの馬が使われていたため、坑内には19世紀の厩舎が保存され、そのほかにも多円形掘削機をはじめとする珍しい機器が展示されています。ヨーロッパでもここだけにしかないオリジナリティーにとんだアトラクションです。グイド炭鉱(Guido)
ul. 3 Maja 91
tel: 032 271-40-77
http://www.kopalniaguido.pl
www.nikiszowiec.pl
プシチナ宮殿博物館は大貴族の邸宅を利用した博物館としては国内最高、ヨーロッパでも指折りの規模と充実したを誇るミュージアムといってもよいでしょう。
カトヴィツェの南に広がるエリアを200年にわたって治めていたプロムニツ家がこの館を所有していました。建築当初はごく平凡な中世の宮殿であったのが、改築によりみごとなルネサンス様式に改装されました。そして1738年の大火事のあと更なるリフォームでバロック様式が採用され、最後の大改装と増築は1870年から76年にかけて行われ、この時にはフランスの宮殿建築を模倣して、現在の館の外観となりました。第2次世界大戦の被害もほとんど受けず、1946年からは博物館として公開されています。館の中にある家具・調度品の80%がもとからこの館にあったもの。同様の多くの建物が破壊を受けたり、調度品や家具が略奪されたりという憂き目にあっていることを考えるとここの価値はとても大きいものです。城の周りには48ヘクタールの庭園が広がっています。 いつ訪れても素敵な場所ですが、一番のおすすめはアザレアの美しい6月と一面に紅葉が広がる10月です。