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ヴィエルコポルスカ地方

 ヴィエルコポルスカ地方 (ヴィエルコポルスキェ県, wielkopolskie)

ポーランド語のWielkopolskaヴィエルコポルスカを直訳すれば大ポーランド。今から1000年以上前に現在のポーランドの地にはスラヴ系のさまざまな部族が居住していました。9世紀には各地に部族の連合体が形成され、10世紀になってヴィエルコポルスカ地方に国家建設を行い、首都がグニェズノに定められました。記録によれば1257年6月15日に「ヴィエルコポルスカ」の名前が初めて登場したとされています。
国王ミェシュコ1世は966年にキリスト教に改宗しました。その結果、ポーランドはローマ・カトリック教会と強い結びつきがあったヨーロッパ世界に属するようになったのです。紀元1000年、グニェズノにおいて神聖ローマ帝国皇帝の オットー3世と、ミェシュコの息子ボレスワフ・フロブリ(ボレスワフ武勇王)の歴史に残る会談が開かれました。

中世初期にレフの丘に築かれたピアスト朝の史跡は、1819年の大火災で町のほとんどが消失したこと、また第二次世界大戦の戦災で大聖堂が大きな被害を被ったことからほとんど残ってはいませんが、グニェズノはくポーランドの最初の首都であり、ピアスト朝の5人の王が戴冠した都として歴史上非常に重要な都市です。ポーランドの人々がグニェズノに寄せる気持ちには日本人が京都・奈良を思う心に通じるものがあります。
グニェズノの紋章である白い鷲には面白い伝承があります。その昔、レフ、チェフ、ルスの三兄弟が放浪の旅をして、ある湖に近い谷間にたどり着きました。レフはそこにあった樫の木に白銀のみごとな鷲が巣を作っているのを見て、すっかりその土地が気に入りました。そして仲間とともに残って国を作りました。チェフとルスはさらに旅を続け、チェコとロシアの地に国を築いたといわれます。この3兄弟の名を冠した樫の木がポズナン近郊のロガリンの樫の森にあります。ここはヨーロッパでもっとも大きな樫の群生地ですが、なかでもレフ、チェフ、ルスの樹齢約700年とも1000年ともいう巨木はその大きさに圧倒されます。木の周囲は6メートルから9メートルもあります。

ここの樫の木立のなかに建つ瀟洒な宮殿はラチンスキ宮殿といい、ロガリンの一番の観光名所となっています。ロココ様式の宮殿は18世紀の建築で、なかでも豪華な大広間は圧巻です。絵画のコレクションや優雅な馬車などの展示も見逃せません。 www.rogalin.org


ヴィエルコポルスカ地方を旅するときにもう一つ忘れられないのはポーランド最古の都市のひとつカリシュ。カリシュは琥珀街道(アンバーロード)の町として重要な役割をはたしてきました。ローマ時代にさかのぼれば琥珀を求めてローマから北上してきた隊商はここを通ってバルト海にいたるルートを進んだといわれており、プトレマイオスの記録にも残っています。ここは昔から交通の要所で、ショパンも何度となくここを通って旅していたことはよく知られています。www.kalisz.pl

ショパンといえば忘れられないのがアントニンの地でしょう。
ヴィエルコポルスカ地方の南の端にある小さな町ですが、ショパンはここにあるポーランドの名門貴族ラジヴィウ公爵の別荘に滞在し、秋のアントニンで夢のような時を満喫したといわれます。その時、公爵のためにピアノとチェロのためのポロネーズ作品3番を作曲しました。
ここの見どころは上から見るとギリシャ十字の形をしたおしゃれな木造の旧ラジヴィウ家の別宅です。狩猟のための別荘として作られたこの館は1824年築。周囲には12ヘクタールの庭園が広がり、別荘との見事な調和を見せています。現在はホテルとして営業しており、ショパンの滞在を記念した展示室もあります。 また、秋色のショパン」国際音楽祭が開催されています。

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