ルブシュ県の中にある拷問道具の常設展示室に入ると、地下室
の薄暗い牢獄を再現したパリのコンシェルジェリのような雰囲気がある展示が
来場者を驚かせます。ここには、広さは200㎡とコンパクトなコーナーですが、中
世から近代までのさまざまな拷問道具の数々をそろえており、外国の博物館か
ら展示品の貸し出し依頼が来るほど貴重なものがそろっています。
ギャラリーにはかつての下シロンスク地方やブランデンブルグ地方の裁判所関
係の資料が展示されていますが、ここのメインとなるのは、17世紀に地元ジェロ
ナ・グラで行われた魔女裁判で行われた拷問や刑罰の歴史に関する展示でしょう。
ロバや豚の顔をかたどった「恥の仮面」、人間の形をした鉄製の箱の内部に鉄
の棘がついた「鉄の処女」、鉄の棘がついた魔女の椅子、地下牢の再現など、
よそではちょっと見られないようなものがいろいろあるのです。
かつて拷問は殺人や魔女の疑いをかけられた者に対する尋問、窃盗のような
比較的軽い犯罪まで広く用いられてきました。しかし、中世には今日のような
刑務所というものがなかったそうで、罪人は拷問室が横にある地下室や物置、
牢屋に投獄されていました。断末魔の苦しみにのたうちまわるほかの収容者
を目の当たりにしてより強く心理的な圧迫をかけられていたわけです。
自白を強要するための道具は時代の流れにしたがって、比較的簡単な構造も
のものから、徐々に肉体に激しい痛みを与え、収容者が死に至るまで長くいた
ぶることができるようなものが開発されたのです。
17世紀に、わずか3年の間に23人の女性が魔女の判決を受けて、火刑に処せ
られてたという記録が残っています。特に1664年に、最後の処刑者となった
エルジュビェタ・グラッセら3名についてはそれまでとは異なり、富裕層が魔女裁
判にかけられて処刑された例としてとして貴重な史料となっています。
ルブシュ郷土博物館 Muzeum Ziemi Lubuskiej
http://mzl.zgora.pl/
開館時間:6月1日 - 9月30日
水: 12:00 - 7:00、木金 : 11:00 - 5:00、土日: 11:00 - 4: 00
水木金: 11:00 - 5:00、土: 10:00 - 3:00、日: 10: 00 - 4:00
土曜日は常設展のみ
12才未満のこどもは成人引率者の承諾がないと入場できません。